2018年の5月発行、新旧シリーズを股にかけた謎の女子会本。
イベント数日前に思い立って突貫で作った本でした。コピー本だけに1度のイベントで在庫が尽きたのですが、オフセットで8月に刷り直しています。
オフセット版は女子の髪型アレンジ絵を描いたトークページを追加した他、タイトルの英字ロゴをこっそり整えたりもしています。
また、見返し部分のデザインがコピー本とオフセット本で異なるのですが、どちらも気に入っています。
女の子を沢山かけて楽しかった……!
以下、登場した女性4人ついて、これまでに書いたり描いたりしたものなどご紹介がてら。
アリゼ
ハーンの運命の人。彼の現在の人格形成に深く関わった女性。
女子会本では元気な様子がうれしい、との感想をたくさん頂きました。有難うございます。
アリゼが出てくる話はそのうち描き直しする予定なので、彼女についてはあまり詳しくは語らずこの辺で。
真面目に再会を考えたIF落書き アリゼとハーン
ジラ
永遠に理解を許さない初恋の相手。
シドの、女性に対する態度や距離の取り方の基礎を作った人。
これに関しては以前、感想フォームから以下のようなご指摘を頂いています。
>シャムとの会話での「寄ってくる女は嫌い」という部分、番外編では流して読んでしまっていたのですが、これはジラの件からだったのでしょうか。
ジラの話から17年・シャムの話からも10年経ったいま、このセリフを拾ってくださる方が存在するとは思いもせず……たいへん驚きました。有難うございます。
ご指摘の通りです。
シドにとっては、己の未熟さへの羞恥と、ぬぐえぬ疎外感を呼びさます相手であり、同時に歓心を得たいと強く願った自身の恋心を思い出させるしんどい女性なので、「苦手」とか「嫌い」という言葉で表現されるのでしょう。
文字通りの意味であるほど単純な感情でないことも彼自身分かっている筈。
属性こそ特別でしたが、ジラ自身は強さもあり弱さもあり、思春期らしい行動のブレまで含めて普通の少女だったので、その人間らしい不安定さを愛せたことは後のシドにとっても大きな意味があったのではないかと。
真面目に再会を考えたIF落書き ジラとシド
シャム
シドがけして忘れない数名の女性の名前のうち、憂いなく思い出せる唯一の名の持ち主。
振られたことすら自分の弱さへの戒めとして思い出せるくらいには、愛し愛された優しい思い出を残した人。
彼の大きな部分を占める、淋しさや孤独といった虚(うろ)の部分に魅力を感じてしまった変わった女性です。
10年も経ってるしもういいだろうとかべうちで呟いたシャムの話とWS9の裏設定もよろしければ。
https://kabe-uchiroom.com/mypage/post.php?id=314043
作画当時、事情をそこまで説明しなくてもいいか……と、彼女がお腹に手をあてる絵をカットしたのを覚えています。
シャムにとっての愛の体現はむしろシドと別れてからの彼女の生活そのものであったでしょうが、シドはそれを知らない、知らされないという点において、とても彼ららしい成り行きだと思います。
ネネト
相手が決して自分を恋愛対象としてはみない、というところまで悟ってしまう悲しい聡さ。
どんな間違いも起こらなかったのは、彼女のその聡さとシドへの信頼ゆえだったろうと思うので、シドが髪結いの緊張感をこっそり楽しんでもいたというのはネネトにはきっと意外な事実でしょう。
自制心を発揮した話を描いたせいか、思いがけずシドが高評価いただいた本でしたが、あの男のいい加減でズルい面というのはもっと前に出てもいい……そのうちに。
売り子を手伝ってくれた友達が「訳アリ顔で距離をとりながら文化の匂いを漂わせる男……くそ、おまえ何人の田舎娘を……この初恋泥棒めっ」と評してたのが面白く、印象的でした。
実際シドはそのうちネネトの名前を思い出せなくなるだろうし、それは彼らの関係が穏やかに終わった証でもあるのですが。
名を思い出せない少女の指が自分の髪を編む心地よいリズムを、木漏れ日や緑の匂いの中にフと思い出す時に、とびきり優しく淋しい顔をするのではないかと思います。
見返しやキャラ紹介ページに置いたそれぞれの花は、花言葉というよりは自分の持つ花の印象によって当てはめました。
以下そういった属性の羅列です。
オールドローズ(アリゼ)
花の代名詞「薔薇」の原種
やわらかさ、豪華さ
触ると染みとなり、そこから花全体が駄目になる
ジャスミン(ジラ)
花自体が視界に入らないうちからその存在を周囲に知らせる強い香り、存在感
花は意外と小ぶりでかわいらしい
蔓性でなにかに巻き付かずには育たない
アネモネ(シャム)
一輪で完成した姿形、群れない
強いコントラストをもつ色の組み合わせ
花は絵画のように艶やかなのに、花を支える茎が毛だらけで太く曲がっている。芸術と生活のアンバランスな融合
山吹(ネネト)
花の中で一番ありふれた黄色、とはいえ色の名前になるほど他の黄色とは異なる色味
野の花
棘がある