赤い目と青い目と未来の石

突然ですが、ウルディラをモチーフにして作られたジュエリーが、少し前からこの世に存在します。

 

 
この美しいピアスを作ってくださったアルビジアさんとの出会いから。

 
2016年の11月、旧シリーズを電子書籍として配信した時に「好きでした」「懐かしいです」と丁寧なリプくださった方のうちのおひとりがデザイナーのネムさんでした。当時はアルビジアさんのツイッターアカウントはまだ無くて、これはプライベートアカウントの方でのやりとりです。
フォローさせていただいたところ、日々のつぶやきの中に見たことのないタイプの素敵なジュエリーの写真が混ざるのに気づきました。
「かわいいのができた」「職人さんに褒められた」
どうも呟きの内容的にご自身の手によるものの様子。

 
ジュエリーに散々散財してきた自分「これはまずい気がする、なるべく目を細めてやりすごそう……いやもうだめ好き、うわーめっちゃいい……」と指の隙間から覗く日々。

 
そうこうしているうちにアルビジアさんのツイッターアカウントが始動し、見た方ならご存知、石とその魅力を最大限に引き出したジュエリーのお写真が毎日楽しめるようになります。

 
ポップアップショップに出かけると絶対買ってしまう気がして逆に避けてたところ、ついにオンラインストアがオープンの日を迎えました。
ネット通販される方ならお分かりだと思うんですが、いえ、額が額ではあるにせよ、ハードルが……低いんですよね……パジャマに眼鏡のひっつめ髪でもそこのボタンをポチってしたら買えちゃうので……  ポチ。

 
アルビジアさんのオンラインストア利用者第一号、わたし。

 
オンラインストア購入時の入力欄にPNなんてのはもちろんありませんから、本名でのやり取りです。
商品配送やりとりの際に通販用のメアドではなく、mukuizawaの方を使ったのは意図的なものでした。
もしかしたら、と。
「……報沢さんですよね?」
「はい!」

 
ガーネットのジュエリーも、青い石のジュエリーも今までたくさん集めました。
ピアスだけでもそれぞれ2~3セットずつ持ってます。
オタク仕草のひとつ、キャラカラ―アイテム蒐集。推しキャラの色、買うでしょ……?
 

この仕草を仕草でなく本物にできる人がそこにいる。
買った自分が「これはハーンの色」「シドの色」とまじないを唱えながら着けるんじゃなくて、あのふたりをはなから想定したジュエリーを作れる世界でただ一人の人と今やりとりをしている。
 

サイトには「アトリエにてお好みのルース(裸石)を選んでリングに仕立てるセミオーダーも承ります」とありましたが、フルオーダーの記載は無し。
こういった依頼はもとより想定すらされていない。
返信に添えた「ネムさんにピアスをオーダーさせて頂けませんか」の部分、送るのにどれだけ勇気を振り絞ったか。
 

カットアンドペースト、カットアンドペースト。
 

めちゃくちゃ図々しいお願いだよな~~~~。カット。
まあでも、ダメならダメで死ぬわけじゃないし……断られたらちょっと……二~三日……一週間くらい……落ち込むかもしれないけど……先方にも都合ってものがあるわけだし。
それでも[好きなジュエリーデザイナーさん][ウルディラ読者さん]のベン図の集合が重なるなんて奇跡は二度とおこらない。ペースト。
 

ほとんど目をつむって送信ボタンを押しました。
 

その後は御覧の通りです。
 
何度見ても吸い込まれる美しさ。

燃える赤

泣きそうな青

きれいな後ろ姿。端正な明り取り。

屋内だと落ち着いた遊色

外の光の下だとどこまでも自由になる色

あ、屋内でもやっぱり自由

とおもえば、遊色なんて知りませんよ、みたいな顔もする

 
パイロープ、まさか探してくださったとは。
百科事典の宝石のページ。”ギリシャ語で「燃える目」を指す”との一文に心惹かれて、赤目の主人公の本のタイトルにしたわたしに教えてあげたい……。
将来、本当に炎の目のようなパイロープを探し出して、ジュエリー作ってくれる人に会えるよ、と。
光にすかした時に強くチラチラとはねる炎のかけら、たまりません。
 

青い両の目はタンザナイト。
暗がりでは綺麗な深い青なのに、光に透かすとたくさんの内包物と傷が浮かび上がる。
石がとりこみ、中に隠してきた長い時間の記憶。
本来、石の評価を落とすはずのインクルージョンとクラックが、これだけ意味をもって訴えてくることって……震えました。
不死の男の目を表すのにこれ以上のものはないでしょう。
 

鮮やかな遊色をはなつファイアオパールには目を奪われます。
まだ嵌めていない「これを使います」という段階で石をみせていただいた時に「あ、何色でもない、これは未来だ」って思ったんですよね。
お話うかがうとそういった意図でらしたとのことで、しばらく胸がいっぱいになりました。
 

ちなみに依頼は、地金:ホワイトゴールド、期間:1~2年程度、予算ボリュームを提示したのち「特定の話モチーフでも、キャラモチーフでも。ネムさんの中でウルディラを思い起こさせるような石に出会ったらそれでお願いします」でした。
 

今回は一生ものの依頼になるだろうと、自分にとっては特別な意味をもつ装身具であるところのピアスでお願いしたのですが、アルビジアさんといえばリング。
魔法が使えそうともっぱらの評判のリングです。
わたしもいつか運命のリングに出会えますように……と願いつつ、さいごにこちらのツイートも。

フルオーダーへの道、拓かれましたよ! 
おそらくその一歩は、わたしの図々しい勇気がお手伝いしたもののはずです。
 

アルビジアさん情報
Albizia Jewelry
Website:https://www.albizia-jewelry.com/
Twitter:https://twitter.com/Albizia_jewelry
Instagram:https://www.instagram.com/albizia_jewelry/